神戸製鋼HOME > プレスリリース > 2006年 > 神戸製鉄所におけるばい煙発生施設等に係るばい煙測定データ等の点検・確認状況のご報告について

プレスリリース

*プレスリリースの内容は発表時のものです。販売が既に終了している商品や、組織の変更等、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

神戸製鉄所におけるばい煙発生施設等に係るばい煙測定データ等の点検・確認状況のご報告について

2006年6月5日

株式会社神戸製鋼所

このたびは、ばい煙の排出基準値超過、データの不適切な取り扱いなどに関しまして、地域の皆様をはじめ、関係当局など多くの皆様の信頼を損なう事態を引き起こしましたことを、深く反省すると共に、誠に申し訳なく心よりお詫び申し上げます。

本日、神戸製鉄所に対する神環指第112号「ばい煙発生施設等に係るばい煙測定データ等の報告」に関して神戸市殿に報告しましたのでお知らせします。

今回ご報告した主な内容は以下の通りです。
【1】大気汚染防止法関連
大気汚染防止法に関して、自家発電所2号ボイラーと鉄鋼生産関連設備の分塊工場の均熱炉と加熱炉、線材工場の加熱炉で窒素酸化物(以下NOx)の排出基準値超過が判明しました。

NOx排出基準値超過の実績(大気汚染防止法)
対象設備 発生時期 超過時間(回数) 調査期間
自家発電所2号ボイラー 06年5月 3時間(1回) 過去5年間(延べ27万時間分)
鉄鋼生産関連設備(注) 03年8月〜06年5月 20時間(16回) 過去3年間(延べ11万時間分)
注:鉄鋼生産関連設備は、分塊工場均熱炉および加熱炉、線材工場加熱炉の3施設

(1)自家発電所2号ボイラー
自家発電所2号ボイラーは、通常、2種類程度の石炭を混合して使用しています。本年5月、計画補修が終了してボイラーを再起動する際に、揮発分の高い(=燃焼し易い)石炭を高い比率で使用したことと、供給する石炭を多くしてしまったため、炉内温度を急上昇させ、NOxが大量発生しました。直ちに、温度を下げるべく空気流量の調整、炭種変更等の処置を行いましたが、既に石炭バンカーに入っている高揮発分の石炭が消費されるまでの間、通常時よりNOxが高い状態が続きました。
起動時において使用実績の少なかった、揮発分の高い石炭を高い配合比率で使用する場合の留意事項等のマニュアル(作業標準)を定めていなかったことが原因です。

<対策>
起動時には、揮発分の高い石炭の配合比率に上限を設けるとともに、昇温速度(石炭の投入ペース)制限や炉内温度管理等のマニュアル(作業標準)を充実させ、オペレータの再教育も実施します。
さらに、通常の運転状態の管理についても、警報値の設定を、「予備警報値」と「最終警報値」の二段階とし、「最終警報値」に達し、改善が困難な場合は、ボイラーの停止操作を行うようにマニュアル(作業標準)を見直し、排出基準を厳守する運用を徹底してまいります。

(2)鉄鋼生産関連設備
神戸製鉄所には4基の均熱炉・加熱炉がありますが、このたびの基準値超過は、この中の3基において、圧延機の停止などに伴い、炉内への燃料を絞った際に燃料と燃焼用空気のバランスが崩れた等の要因で発生しました。均熱炉・加熱炉では、各設備の排出基準値を10〜20ppm下回るレベルで運転管理値を定め、この値を超えた場合、Noxを低減させるため燃料や空気流量を調整する等のマニュアル(作業標準)を定めています。この調整が間に合わずに、排出基準値を超過させてしまいました。

<対策>
操業マニュアルを再点検し、警報値の設定を、「予備警報値」(排出基準値を20〜60ppm下回るレベルの値)と「最終警報値」の二段階とし、「最終警報値」に達し、改善が困難な場合は燃焼停止を行うことを定め、オペレータの再教育も実施します。
加えてNoxの上昇の要因となる設備への空気の浸入を低減するため、炉蓋、水封装置、熱交換器、煙道などの点検・補修を強化します。
【2】大規模工場・事業場に係る窒素酸化物総量指導指針および環境保全協定関連
今回の排出基準値を超過した時間において、時間排出量及び年間総排出量を再算出いたしましたが、総量指導基準値および環境保全協定の協定値は全て下回っておりました。(詳細は下表をご参照下さい)

再算出したNOx値および規制値

  実績 環境保全協定
時間値(m3N/h) 最大83 ≦230
年間値
(t/年)
平成15年度 621 ≦1,500
平成16年度 1,010
平成17年度 1,043
注:規制値は神鋼神戸発電所との合計値
【3】テレメータに正規のデータが送信されなかったことの原因と対策について
(1)自家発電所2号ボイラー
発電所ボイラーでは、発電タービンへの蒸気の送気を開始した時から、送気を終了するまでの間はテレメータにデータを送信する必要があります。ところがマニュアル(作業標準)の記載に具体性が欠けていたうえ、オペレータへの徹底の不備もあり、起動後、オペレータによってテレメータ送信開始のタイミングがばらついていました。今回のケースでは、オペレータが「未だ起動時のためデータ送信は不要」と解釈してデータ送信を停止したことが原因です。
(その後、定常状態になった時点で起動作業終了としてデータ送信を再開しました。)

<対策>
自家発電所のマニュアル(作業標準)に、データ送信のタイミングを明記し、周知徹底を図ります。

(2)鉄鋼生産関連設備(圧延工場の均熱炉および加熱炉)
大気汚染防止法では、NOx濃度と酸素濃度から求めた「換算NOx濃度(*1)」を管理していますが、加熱炉の燃焼負荷が極めて低く酸素濃度が高いような場合は、換算NOxの算出精度が保証されません。そのような場合に限り「欠測」とすることは妥当と考えます。
今回は、当該設備のロジックが、本来「酸素濃度が設定値以上」、かつ「NOx濃度が設定値(今回の場合は排出基準値)以上」の場合「欠測」とすべきところを、どちらかの条件を満足すれば「欠測」となっていたことが原因です。

*1)NOx値の管理は、実際のNOx濃度から、施設別に法が定める酸素濃度に基づき「換算NOx濃度」を算出して、排出基準を定めています。

<対策>
排出基準値超過の場合に「欠測」とするロジックは、既に削除いたしました。

(3)環境管理体制の強化について
神戸製鉄所全体の環境管理体制について下記の通り強化策を実施いたします。
1)環境管理情報のタイムリーな共有化
2)マニュアル(作業標準)類の再点検と従業員教育の徹底
3)環境管理計器類やデータ送信システムの管理体制の再点検
4)環境管理推進員制度の充実・強化
5)公害防止管理者の国家資格取得の推進
【4】環境関連法令等に基づく報告データの点検・確認結果について
環境関連法令等に基づき、神戸市殿に提出している報告書類(平成16年度提出分および平成17年提出分)に記載している全てのデータについて確認しました。

(1)これまでの一連の点検・確認作業で判明した、均熱炉・加熱炉の窒素酸化物濃度の最大値を訂正します。

(2)水質に関する自動測定装置の一部、及び第7線材工場のNOx測定器において、データ送信可能な範囲(レンジ)の設定ミスがありました。また、水質に関しましては、記録チャートの一部紛失などが判明しました。記録チャートや定期的に実施している手動分析、あるいは測定データの補正により、水質汚濁防止法で定める総量規制値、大気汚染防止法で定める排出基準値及び協定値をそれぞれ下回っていることを確認しています。
【5】全社的対策の実施ならびにコンプライアンス意識の再徹底について
加古川製鉄所も含めた今回の問題については、現在社長を本部長とする対策本部を設置して、原因の究明および今後の全社的な取り組みについて調査・検討中であります。
対策本部による調査結果や検討結果は、まとまり次第速やかに、神戸市殿をはじめ監督行政機関にご報告いたします。また、今後本件で弊社が実施した調査結果や対策について弊社ホームページに掲載するなど説明責任を果たしていく所存です。